打てば響く-ドラム・パーカッション、銭湯とサウナの活動記録-

ドラム・パーカッションを主に演奏する書き手の音楽活動、および小説や洋楽英詞和訳など執筆活動記録。また、それらを継続させるための健康活動(運動・銭湯・サウナ)記録。銭湯好きがこうじて温泉ソムリエ & 銭湯検定3級を取得しました。

【トークライブレポ】『東京店構え』マテウシュ・ウルバノヴィチ氏×『銭湯図解』塩谷歩波氏のイラストレーター対談(2019年4月7日@BOOKLABTOKYO)【銭湯・サウナ】

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どうもこんにちは。クリヤマ(@kuriyama1youth)です。絵や建築物を見るのは好きなんですが絵心はまったくありません。

 

ですが、実はじぶんも10代のころに興味本位でデッサンや風景画を描いていたものの、「イマイチやっててノリきれない」という結論が出たため、きっぱり辞めたという過去があります。

 

いま思うに、その時の自分は「描き手としての視点」を得ることができず、意欲が維持できないために続かなかったのだと思います。

 

というわけで当時の反省を踏まえ、今回のトークイベントは描き手としてリスペクトするお2人のお話を聞ける機会だと思いまして急遽向かいました。銭湯はもちろん、東京の建築も好きなもので。

  

非常に勉強させていただいた時間でした。

後学としてトークライブレポートを記します。

  
CONTENTS

 

はじめに、Web上に掲載された告知文を引用させていただきます。

 

ブックラボで実現!『銭湯図解』×『東京店構え』のイラストレーター対談

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BOOKLABTOKYOでは「マイクロオーナー制度」を立ち上げ、お店づくりに関わることができる取り組みを行う傍ら、「つくる人を応援する書店」という原点に回帰し、読者×著者×空間が織りなす「まったく新しい読書体験」の創造に挑戦しています。

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今回のゲストは、

「銭湯図解」著者の 塩谷歩波(えんやほなみ)さん。

小杉湯番頭兼イラストレーターという、その時点でかなり怪しさ満載の彼女。
設計事務所出身であることから、建築の図法(アイソメトリック)を用い、銭湯の建物内部を精密な俯瞰図で描く「銭湯図解」は、細かすぎて引いてしまうほどそのマニアックさが最高です。

そんな彼女に今一番会ってみたい人をたずねると…?

「東京店構え」著者の マテウシュ・ウルバノヴィチさん!」

ご存知ですか、彼はアニメ監督・新海誠氏のもとで、映画『君の名は。』など数々の作品の背景美術を手がけるポーランド出身の人気イラストレーター。
そんなマテウシュさんの作品集でもあり、東京にある古き良き建物をイラストで描いた「東京店構え」。
塩谷さんが大好きな本で東京の建物外観や、内部を描いた点で『銭湯図解』とも通じるところが大いにあり、塩谷さんがぜひお話ししてみたい憧れのアーティストの方だそう。

そしてまた、塩谷さんの「銭湯図解」のイラストが気になっていたというマテウシュさん、「 塩谷さんがお使いになっているものなど拝見できると嬉しいです! 」とのこと。

当日は、お二人の画材やスケッチブック(塩谷さんは取材測量メモ?) などもご持参いただき、

どんなふうに描いているのか?
イラストレーターとしてどんな建物に惹かれる?
どんなことを意識している?
苦労している点、 楽しい点などなどなど
イラストレーター同士の話をたっぷりお話いただきます。

銭湯に浸る気分でぜひお越しください!
 

(引用元:https://illustrator-taidan-booklabtokyo.peatix.com/ 

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『銭湯図解』と『東京店構え』のライト書評

本編に入る前に、まず筆者から今回の2冊につきまして、軽めのご紹介をさせていただきます。

 

 

 銭湯図解

「とにかく銭湯好きは買って読め~!」の一言に尽きると思います。笑

建築学を学び建築会社で働いた経験をいかした著書の絵と、人情味が伝わるイラストレーションが魅力のご本です。

 

銭湯建築だけでなく、現在の番頭経験を活かされている1ユーザーとしてのエッセイや銭湯の入り方や銭湯図解の描き方のコラムなどが掲載されており、現在進行系で勉強させていただいています。

 

東京店構え マテウシュ・ウルバノヴィチ作品集 

 

非常に良い本です。東京建築のみならず、絵を描く人や興味のあるかたは読むべき本だと思います。

 

主に見開き右ページを建物イラストレーション、左ページを建物の紹介、および細部の描き手として「なぜこれを描いたか」というところまで説明しており、読んでて腑に落ちる構成となっています。

 

また、すべてが日本語と英語の並列表記となっており、外国人の友人知人にオススメできる書籍かと。

 

コンテンツの一部に「マテウシュのアトリエ」として作業部屋や使用道具・文房具、そしてイラストの描き方まで詳細に掲載されています。

 

そこに驚いた、とマテウシュさんへ直接感想を伝えたときに、「自分が得た知識や技術をシェアするのが好き」とのご返答をいただきました。アウトプットへの強い姿勢が伺えて恐縮です。youtubeチャンネルも即登録しました。

www.youtube.com

 

トークセッション本編

BOOKLABTOKYOさんはキャッシュレス決済が可能。Peatixアプリを使用してスムーズに店内へ。

入り口左手にスクリーンが用意されており、20〜40名ほどの椅子が並べられていました。

 

■お互いのお仕事について

定刻14時よりトークライブが開始。

まずは塩谷歩波さんから自己紹介が始まります。

こちらは以前のエントリと重複したところもありましたが、今回は13歳のときにはじめて描いた原点ともなる和風部屋でのイラストレーション、建築科での課題などでの建物や風景画もご紹介されておられており、非常に興味をひかれました。

「銭湯は最高の場所、その魅力を伝えたい」というスタンス、さいこうです。

 

続いてマテウシュ・ウルバノヴィチ氏のスライドへ。

キャリアの中で、そのときの環境や使用道具・機材について話されていましたが、『君の名は。』の1場面が出てきましたが、「これをPhotoshopのみで描いたのか……」とその一つ一つのお仕事に唸らされました。

デジタルから水彩画をまたやりたい、と考えたのが『東京店構え』執筆への流れのようです。

自画像は尊敬する宮崎駿さんから引用した、というのも( ´ ▽ ` )

 

■使用道具

続いてスライドに各人の使用道具が映し出されます。

マテウシュさんは自作で60色使用できる木製パレットを持参してくださいました。ipadくらいの大きさで非常にコンパクトです。

ラファエルの水彩筆について、リーズナブルで長持ちするとおっしゃっていました。

文房具から描きたくなる、というモチベーションの上がり方がある、というのは、機材好きとしても理解できるところです。

 

塩谷さんは紹介の際、現在描いている途中の「高円寺の某古本酒場」も見せてくださいました。こちらも完成が楽しみです。

 

Q&Aコーナー 「富士山絵は東京独特のもの」

 

そのほか多くのことが語られましたが、塩谷さんの「(それが東京という地域の独特なところでもあると思うが、)空襲もあり、東京の建物はスクラップアンドビルドが根付いています。日本人は独特に建物に対する執着が少なく、もったいないと感じる部分もある」との発言がありました。

 

こちらについては個人的に完全同意見でして、最後の質問コーナーで手が上がらなかったのでじぶんが質問させてもらいました。

 

内容は、

「(先ほどの空襲の件もありますし)東京は世界的に見ても独特な地域だと思います。

塩谷さんは地方の銭湯で東京は独特だと感じる部分はありますでしょうか。

マテウシュさんの各地域でどのようなアティチュードで描かれるのか、など改めてお伺いしたいです」

というものです。

 

こちら本当に聞けてよかったのは、

むしろ銭湯の富士山絵は東京独特のもの

だということです。

 

確かに現役の銭湯ペンキ絵師さんが中島氏と丸山氏の両名しかいない、と考えると腑に落ちます。

それでは富士山が日常的に見られる静岡とかは……? 浴室に空間を広げるための絵が描かれている、ということは他の地域にも風景画が描かれているのだろうか、など新たな疑問も生まれました。改めてこちらも調査していきたいものです。

 

マテウシュさんは、その地域独特に触れたもので、想像力を使いつつインスパイアされて、資料をたくさん集めて楽しさを伝えるのが個人的に好きだとお話されていました。

非常に意欲的で、楽しんでいる様子がポジティブに見えました。そうした姿勢が素晴らしいお仕事を生み出されているのだな、と頭が下がります。

 

  

終演後の感想とまとめ

 

銭湯のコミュニティが形成されるかたちは、キリスト教圏における教会に似ている、というマテウシュさんのコメントが心に残っています。

塩谷さんも「確かに昼間に湯船につかっていて、銭湯の高い天井から光が差すのをみていると教会のイメージではないかと思った時もある」と返されていました。

個人的にも小杉湯の正月朝湯につかって、あそこ水風呂に浸かると前方上方からキラキラ日光が差し込む構造なんで、神々しい……! と思ったこともあり、納得。

 

 

そして、塩谷さんからの「他の建物や場所を描くにあたり、いかに銭湯というところが余白の多いところだったと気付かされた」と、

あらためて光源の処理や目に入る物の情報量の多さについてどう処理するべきか、という発言を受けて、

マテウシュさんが「何を描くべきか、細部まで描くべきではないのはわかっている。しかし描かなければ伝わらないという気持ちがある」と、双方とも頷かれていたのでそう思うのですが、描き手ならではの葛藤を発言されていたのが印象的でした。

 

取捨選択での合理性ではなく、偏愛が重んじられる姿勢には個人的に好感を持ちます。

 

お2人の発言を勘案して、素人の目線ながら、「建築物を描く」というのは、実際に目にしたもの(物質だけではなく人の所作、表情などの記憶)、実測、または写真で得られた情報、また「こうあったらいいな」という想像など、多くの思慮と思考の果てに一枚絵に落とし込む作業なのだな、と思わされました。

 

重ねてになりますが、勉強になりました良い時間でした。

 

 

 銭湯図解

 

 

東京店構え マテウシュ・ウルバノヴィチ作品集

 

2019年秋に発売されるマテウシュ・ウルバノヴィチさんの『東京夜行』も非常に楽しみにしています。

 

東京夜行 マテウシュ・ウルバノヴィチ作品集II

 

BOOKLABTOKYO

 

同イベント関連エントリ

イベント中に紹介されたり、特徴的な建築だなと思っている過去当ブログにて書いたエントリやトークライブレポについて一部紹介させていただきます。

よろしかったらこちらもどうぞ!

kuriyama1youth.hatenablog.com

 

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マテウシュ・ウルバノヴィチ氏監督作品『すすめ、カロリーナ。』 

www.otsuka.co.jp